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参考文献
・毛里和子『日中関係 戦後から新時代へ』岩波新書、2006年
・明石康『国際連合 軌跡と展望』岩波新書、2006年
・猪口孝『国際政治の見方−9.11後の日本外交』ちくま新書、2005年
・草野厚『日本はなぜ地球の裏側まで援助するのか』朝日新書、2007年
・田中明彦「日中政治関係」岡部達味編『中国をめぐる国際環境』岩波書店、2001年
・毛里和子『中国とソ連』岩波新書、1989年
・染谷芳秀「米中和解から日中国交正常化へ」石井明也編『記録と考証 日中孤高正常化・日中平和条約締結交渉』岩波書店、2003年
・染谷芳秀『日本外交と中国』慶應通信、1996年
・林暁光「中国共産党の対日政策の変容」王敏編『<意>の文化と<情>の文化―中国における日本研究』中央公論新社、2004年
・日本外務省ホームページ「21世紀に向けた対中経済協力の在り方に関する懇談会」提言http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/data/chiiki/china/sei_1_13_4.html
ゼミ論目次(案)
Ⅰ.はじめに
〇昨今の日中関係で浮上している問題の整理
・戦後賠償、歴史認識、台湾問題(日米同盟)、日本の常任理事国入り、領土問題
Ⅱ.中国はなぜ日中国交正常化へ乗り出したのか
〇米中和解の延長線上にあった日中国交正常化
・中ソ対立
・台湾との断交
〇戦争賠償
・中国の対日大原則:二分論
Ⅲ. 日本はなぜ日中国交正常化へ乗り出したのか
〇日華平和条約
〇田中角栄内閣の成立、国内世論
Ⅳ.日中国交正常化交渉そして成立
〇事前交渉
・戦争賠償請求の放棄
〇田中首相・大平外相ら訪中
・高島説明・田中首相の挨拶に対する周恩来の怒り
・中国側の譲歩
Ⅴ.対中援助の始まりとその評価
〇大平首相の対中援助三原則
・賠償請求を放棄した中国への負い目
〇対中援助の内容と経緯
・4回の円借款 ・2度の凍結
〇中国のODA評価
・90年代から強くなってきた反日思想
Ⅵ.中国国民の対日思想
〇毛沢東・周恩来にたいする批判
〇2005年の反日デモ
Ⅶ.おわりに
〇日本の歴史認識を問う
テーマ
日中関係に関する検討 ―どういう経緯で日中国交正常化は果たされたか
昨今の驚異的な中国の経済成長などにより、日本国内で中国が「脅威」と認識され始めたのは、日本経済が停滞する一方で中国市場が開放へと向かう1990年代前半のことであると考えられる*1 。その傾向が強まるにつれ、「中国はアフリカなどに対しては援助国になっている*2のに 、なぜ日本が中国を援助しなければならないのか」という意見が国内で聞かれるようになる。こういった世論に対し、中国からは歴史問題が提起され、「戦後賠償なのだから当然」という批判を受ける。
もちろん対中ODAが戦争賠償の性格を帯びているのは否定できないが、日中共同声明の第五項で中国は「日中両国国民の友好のために、日本国に対する戦争賠償の請求*3を放棄」したはずである*4。ではなぜ今、中国側から戦争賠償請求の動きが出てきたり、歴史問題*5が提起されたりしているのであろうか。それには「戦争賠償の請求」の「放棄」が中国国民のコンセンサスではなかったことが深く関係しているように思われる。本論では米中和解から日中国交正常化に至った経緯とその背景を今一度検討し、日本と中国における「戦後は終わった/終わっていない」という認識の違いを洗い出したい。
*1:実際に対中援助が見直され始めるのは2000年の「21世紀に向けた対中経済協力の在り方に関する懇談会」(座長・宮崎勇)からである。
*2:中国が隣接国やアフリカに対して援助を始めるのは90年代末ごろからである。
*3:「請求権」ではなく「請求」という文言になったのは、日本側の要求である。すでに日華平和条約(1952年)で台湾が賠償請求権を放棄しているから、というのがその根拠であった。もちろん中国側(周恩来)は激怒したが、最終的には要求をのんだ。
*4:インドネシアやフィリピン、ビルマ、南ベトナムなどは戦後賠償の請求権は放棄しておらず、いずれも1950年代に日本との賠償交渉は終了している。もっともその賠償の形式は日本がサービスや生産物を無償で供与するという経済「援助」のようなものであった。この際相手国の独裁政権と日本企業との間に癒着があったことを著書『日中関係』の中で毛里和子は触れている。
*5:ここでいう歴史問題は、「日本は戦争に対する謝罪をしていない」という戦争問題のことである。
国際援助委員会(DAC)
☆存在意義★援助内容の透明性の確保
→参加各国はDACにおいて、途上国に対する援助の量的拡大と質の向上を目指しており、定期的に各国が行った援助について報告を求められる。
☆DACによるODA、政府開発援助の最低必要条件
①政府ないし政府機関によって供与される資金であること
②開発途上国の経済開発や福祉向上への寄与を目的として供与される資金であること
③資金の返済が開発途上国にとって重い負担にならないよう、グラント・エレメント(GE:grant element)が25%以上の資金であること ※GE100%:贈与である無償資金協力、GE0%:商業ベースの融資